今日読んだ本
暴走老人! 藤原智美著 文藝春秋
「暴走老人!」といっても決して「老人Z」の続編ではありません(これこれ ^^;)。
街で一度は「困った老人」を見たことはありませんか?
・乗り物の整列乗車に割り込む ・住んでいる敷地周辺がやたら汚い ・お店のサービスカウンターで怒鳴っている ・「ヨドバシカメ」と名付けたカメの甲羅に穴を開けてチェーンをつなぎ、虐待する
近年高齢者の犯罪が急増しています。
こらえ性の亡くなった老人、ワガママしたい放題の老人、我が通らないとダダをこねたりキレたりする老人・・・。
著者はこんな老人に「新老人」と名付けてその原因を探っています。
前半は老人の観察や、体験談、取材に基づく恐るべき老人の姿の描写、そこから考えられる現代社会の問題点について興味深く語り、後半は老人に限らない現代人をせき立てるもの、縛り付けるものについて語っています。
2週間前の本家くりらじで、生放送でしか聴けない番組と番組の間のトークで、おびおは
「近所の書店はクレジットカードの決済に時間がかかる。後ろの人に迷惑をけるので、人がいないときにしかクレジットカード決済はしない」
と SAGさんと雑談しました。 この行為も著者によると現代社会のゆがんだ問題点で、「透明なルール」と呼んでいます。
店員さんはいつも愛想良く対応してくれる。お店は明るくてきれい。品揃えも豊富。本の所在をたずねると本当に親切に教えてくれる。実はこれはマニュアル化された接客を仕事としてこなしているだけなのですが、機月金内に客もこのシステムの中に組み込まれているのです。
お客は行儀良くなければならない。店員さんの少ないときに本を探すのを頼んではいけない。レジではスムーズに支払いを済ませなければいけない。
日本中が「透明なルール」の中で店員としての仕事、客としての仕事をこなし続ける・・・。それが現代。でも、その「透明なルール」を理解できないと現代ではまともにふるまうことはできず、ストレスがたまって爆発してしまうとしています。
「透明なルール」はいろいろあります。
・エスカレーターは左に立って右はあけておかなければならない ・スタバのカウンターでは自分の番が来たらただちに注文しなければならない ・自動販売機は後に人が待っていたらテキパキ操作しなければならない ・渋滞の列に入れてもらったらハザードを点灯させなければならない ・おいしくない料理を出されたレストランでも笑顔で「ごちそうさま」と言わなければならない
現代を快適に生きるために、いろいろな暗黙のルールに縛られ、そして、「透明なルール」は感情爆発の地雷というのです。
おびお obio@c-radio.net
No.(2534) |
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